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県立高校入試問題分析【東京】

開倫塾

2024年度版
都立高校入試問題分析
東京都版
2024年度入試の出題傾向・2025年度入試へ向けて
1.2024年度入試の出題傾向
全体的には、出題形式や大問・小問数、点数配分などの大枠に大きな変化はありませんでした。数学においては箱ひげ図が初の出題となり、対してここ2年で出題されていた動点問題が不出題。また、理科では、昨年度に外してきた傾向を戻してきた部分がありました。総じて、今後も新たな分析をしていく必要があります。
全体的には易化していたと言える問題で、実際の現場、塾生たちの言葉からも、同様の声が聞かれた年でした。ただし、その反面、各受験校において、受験生同士の実力差が如実に表れ、いわゆる「獲りきることができる受験生」のみが合格するといった、シビアな状況が見られた年とも言えます。
昨年度と同様、全体的な記述問題の数は比較的少ない状態ですが、社会などで完全正答を要求する傾向は変わらず、どの教科においても、抜け目のない、総合的な知識と解き方、考え方が、必要とされています。そのため、答えを選ぶだけで満足せず、例えば数学、理科、国語、英語なら、なぜその答えになるのか、社会なら、他の選択肢に当てはまる記号は何なのか、など、実際に自分で説明する力が求められてきていると言えます。
2.2025年度入試へ向けて
東京都の高校入試には出題形式や傾向があり、理科や数学は特に出題傾向のサイクルが顕著です。ただし、年度によってはその傾向が突然変わることがあり、その時に必要なものは「全てに対応する力」です。傾向を読み切ったところで、その傾向が突如として変えられてしまった時に対応できなければ、他の受験生に競り負けてしまいます。合格するためには、どんな問題が出たとしても解くことができる力が必要です。そのためには、あらかじめ多くの知識や解き方を頭に入れ、修めた実力を落ち着いて発揮すること、それを可能にする練習が必要です。
また、今まではある種ボーナス点のように受け取られていたESAT-J(スピーキングテスト)による20点の加点に対し、そろそろ各所で対策の仕様ができ、合否に絡んでくることが予想されます。
開倫塾では、内申点を確保するべく、学校の学習の理解定着を行う通常授業と、夏休みなどの講習や入試対策ゼミを組み合わせ、入試に出され得る様々な問題に対応する力を身につけ、確実に入試対策を進めていきます。また、近年始まったESAT-J(スピーキングテスト)に備えるべく、ぐんぐんEST をはじめとしたスピーキング対策も行っています。やることは多いですが、授業と自己学習を積み重ね、早い段階から準備していきましょう。そうすることで、第一志望校への確実な合格を手にすることができます。
一緒に頑張りましょう。
東京教務リーダー 神山智史
2024年度 都立高校入試問題分析【国語】
大問数 5問
試験時間 50分
担当 久保諒太
入試問題分析と講評
今年度の国語の問題は、例年通りの難易度であったと思われる。問題形式に大きな変更点はなく、過去問や都トレを繰り返し解いていれば、落ち着いて解くことができると予想される。選択肢も素直に正答が出せるものが多く、しっかりと根拠をもって解答できる力が求められる。
大問別分析
大問ごとに昨年の問題との難易度の比較をして分析する。今年度の問題は、昨年度が易しかっただけにやや難化していると言えるが、比較的例年通りと思われる。
【大問1:漢字の読み】例年通り
(1)の「挿した」、(3)の「据えて」はあまり見慣れないかもしれないが、分からなかったとしても、(1)花瓶に「挿した」や、(3)三脚に「据えて」といった文脈で推測できる範疇だろう。
【大問2:漢字の書き】易化
昨年度も易しかったが、今年度はさらに易しい。満点を狙えるだろう。
【大問3:小説文】例年通り
選択肢をしっかりと読み解くことができれば正答にたどり着けるだろう。問2のイの選択肢「窮する」=「行き詰って困る」や、問3のウの選択肢「打ちひしがれる」=「ショックを受けて気力がなくなる」といった言葉の意味が分かれば問題ないだろう。普段から分からない言葉を積極的に調べていく姿勢が求められている。
【大問4:説明文】例年通り
「三項表象」といったやや難しい言葉が出てきているが、しっかりと「三項表象」の説明もあり、要所要所で具体例もあるため、比較的読みやすかったと思われる。問1も傍線部直後に「つまり」とあるため、傍線部直後の言い換えが正答になると気付くことができるだろう。問5の作文のテーマは「互いの思いを一致させること」というテーマであったが、具体的な体験や見聞も含めて書きやすかったように思う。
【大問5:古典評論】例年通り
問4は、Cの「無名抄」の原文と現代語訳を照らし合わせるだけで正答が出る。問5は「が」の意味・用法が異なるものを選ぶが、イ以外の選択肢が主語を表す格助詞に対して、イは逆接を表す接続助詞のため、易しい問題だっただろう。
新傾向や注意すべき問題
傾向に変更はなかったが、注意すべき問題は、大問5(古典評論)の文法問題や今回の問4のような原文と照らし合わせる問題。どちらも本文をほとんど読まなくても解くことができる問題になっていることが多いため、時間が足りなかったり、国語が苦手な人であったりしても先に解くといった対策を講じることで得点できるだろう。
2025年度入試への対策
漢字の読み書きは過去問から出題されることがほとんどであるため、まずは過去問の漢字を確実に解けるように日々練習することが必要。小説文や説明文は「つまり」といった接続詞の役割の理解や、「打ちひしがれる」といった言葉の意味を普段から調べる習慣が得点につながっていくため、意識して取り組む必要があるだろう。
2024年度 都立高校入試問題分析【社会】
大問数 6問
試験時間 50分
担当 神山智史
入試問題分析と講評
本年度の問題は記述問題が多く出題されているが、比較的易しく解きやすい問題となっている。どの問題においても基本的知識で解くことは可能であるため、特に歴史については時代と用語、公民においては単元と用語を正確に学習することが必要になる。
大問別分析
【大問1:小問集合】やや難化
問2・3は例年通り、文章中の記述から用語を答える問題である。問1の地形図の問題については例年、地図記号がヒントとなる問題であるが、今年度は地図中では分析しづらい等高線をヒントとする必要がある。
【大問2:世界地理】易化
問1は最頻出の雨温図と資料を分析する問題、問2は各国の農業の特徴から解く問題、問3は貿易相手国と各国の輸入品目を分析して特定をする問題である。各国の特徴を勉強する必要があることは変わらない。
【大問3:日本地理】やや難化
例年通りの問題であり、問1は都道府県の自然環境と第一次産業の様子を分析して都道府県を特定する問題、問2は資料中の数値と製造品出荷額を分析し、工業地域等の特徴と照らし合わせる問題、問3は資料分析の記述問題である。問2の問題において、工業地域等の各工業分野の特徴を学習しておくことが得点のカギとなる。
【大問4:歴史】やや易化
問1、問3、問4の問題は時代と年号、用語が結びつけて解答する問題。問2は輸送経路にかかわる記述であるが、歴史用語を使わずとも、地図と資料の文章を使って輸送経路の特徴を答えられる。
【大問5:公民】やや易化
問1は平等権の問題、問2は租税の特徴と数値分析の問題、問3はSDGsの取り組み時期の問題、問4は選挙法改正の記述問題であるが、いずれも資料、用語が分析しやすい問題であった。
【大問6:総合問題】易化
問1は世界地理歴史の総合問題、問2はリーマンショックの年代を特定する問題、問3は文章の記述を用いて、資料の数値を分析する問題である。比較的基本知識のみで構成されている。問1は文学者に注目せず、その他の用語から解答に導くことが重要となる。
新傾向や注意すべき問題
目新しい問題として、大問1 問1の地形図の問題や大問6 問3のSDGsに関わる問題があるが、総じて例年通りである。
2025年度入試への対策
歴史、公民に関しては学校教科書を読み込むこと、単元ごとのまとめを行うことが重要となる。地理においては、教科書の読み込みだけでは対応できず、世界地理では各国の気候、産業、生活の特徴を学習すること、日本地理では各都道府県の産業や特徴をおさえて学習することが重要となる。
2024年度 都立高校入試問題分析【数学】
大問数 5問
試験時間 50分
担当 渡辺諒彦
入試問題分析と講評
例年通り【大問1:小問集合】【大問2:図形の式の証明】【大問3:関数】【大問4:平面図形】【大問5:立体図形】都立の傾向としては、今回のように長方形内部の相似の利用問題や三角柱などの特徴的図形の性質を絡めた問題、大問3~5の最後の問題のような条件の使い方を考えさせる問題など高校数学にもつながるような問題で構成されている。
大問別分析
【大問1:小問集合】ほぼ例年通りの難易度
・問7あたりでは1年おきで確率とデータの分析が交互に出題されているが、今年はデータの分析の箱ひげ図が出題された。問9では2つの線分に等しい距離の点の作図だが中身は角の二等分線を書くシンプルな問題が出題された。
【大問2:式の証明】昨年よりやや易化
・文字を苦手としなければ問1は簡単だったであろう。問2は与えられている条件から長さを文字で表せれば面積の公式で解ける問題で、問われている知識は易しめだったが、問題で証明するべき内容が式ではなく文章で書かれていて例年と少し変わっていたことにも注意したい。
【大問3:2次関数】例年通りの難易度
・問3は、面積で立式する典型問題。例年通り求めたい座標を文字tと置いてから対称性を利用し分かる座標を文字で表せれば解ける問題であった。頂点に原点が含まれない三角形の面積を求める技術がある生徒には簡単だったであろう。
【大問4:平面図形】昨年よりやや易化 (長方形での出題)
・問2① 2年連続で相似の証明問題だったが、中学2年生で習う3つの角「対頂角」「同位角」「錯角」を理解していればここ数年の中では易しめの問題であった。
・問2② 相似や辺の比の関係を利用した問題で問われていて使う知識の量は少なかった。
【大問5:立体図形】昨年より易化(三角柱での出題)
・問1 動点が絡んだ問題は出題されず、図形内部の角度問題。Vもぎなど対策していた生徒には簡単であろう。
・問2 立体図形の体積問題であったが、過去問で底面の決定、高さを出す訓練をしていた生徒にとっては例年より簡単だったため、ぜひ得点したい問題だった。
新傾向や注意すべき問題
来年、大問1確率に関する問題の出題可能性や大問5の問2は今年簡単だったため例年の傾向であった図形内部の三角錐や四角錐の体積問題の出題を考えておきたい。また図形の性質を理解してないと解けない問題にも注意しておきたい。
2025年度入試への対策
都立の対策として過去問、Vもぎの演習などを中心に自分の苦手な箇所を演習していくのが効果的であろう。実際に開倫塾では入試対策ゼミや正月特訓などテスト形式で演習をし、苦手分野の洗い出しをして通常授業の個別指導でも苦手分野の克服を行っている。
2024年度 都立高校入試問題分析【理科】
大問数 6問
試験時間 50分
担当 中茎賢蔵
入試問題分析と講評
大問ごとの設問数は昨年度と同じであり、今年も合計25問(1問4点)の出題数になっている。今年は、昨年に比べると過去の出題パターンから大きく外れる傾向は見られない。また、昨年度までと比べると完答問題(1問で複数の記号を選択する問題)は減っているが、その代わりに、1問で問われている内容が4つや6つの問題(1問で1つの記号を選択する問題)が出題された。今年も文章量が長くなっているため、正確に読み取る力が求められる。
大問別分析
【大問1:小問集合】
6問の出題。問1は化学反応式、問2は電気、問3は動物、問4は原子のつくり、問5は天気、問6は血液に関する問題であった。いずれの問題に関しても基本的な知識が問われる問題であった。
【大問2:小問集合】
4問の出題。問1は化石、問2は銅と酸化銅の質量比、問3は光、問4は食物連鎖に関する問題であった。いずれの問題もレポートの内容や問題文が長く、図や表や資料もあり、例年と比べて、読みづらくなっているが、問われている内容は基本的な知識であり、しっかりと読み込むことができれば、難しい問題ではない。また、今年も環境の単元から出題された。
【大問3:地学(天体)】
4問の出題。問1は太陽の南中高度、問2は実験から考察できる問題、問3は地球の自転、問4は昼夜の長さに関する問題であった。いずれも基礎的な知識が問われる問題ではあるが、説明文、問題文ともに長く、正確に読み解いていくことが重要である。
【大問4:生物(植物)】
3問の出題。問1は顕微鏡に関する問題、問2は光合成と呼吸の流れ、問3は光合成に関する問題であった。いずれも典型的な問題であるが、長い説明文、図、資料の散布により読み取りづらさがある。
【大問5:化学(溶解)】
4問の出題。問1は電解質、問2は質量パーセント濃度と温度の関係の問題、問3と問4は溶解度に関する問題。説明文が長く、実験の内容や表をよく読み取らないと、問2や問4は難しいと感じてしまう問題である。
【大問6:物理(運動とエネルギー)】
4問の出題。問1は仕事と作用・反作用、問2は平均の速さ、問3は力の分解、問4はエネルギーに関する問題。いずれも典型的な問題であるが、説明文が長く、図や表もあるが、しっかりと読み取ることが重要である。
新傾向や注意すべき問題
今回の新傾向としては、例年に比べても、説明文や問題文の文章量が長くなっていることや、それぞれの大問において、図や表、資料が増加したということである。必要な情報を読み取るための読解力や集中力が必要なことと、各分野の基礎的な知識を幅広く確認しておく必要がある。
2025年度入試への対策
都立入試の理科は例年通り、物理・化学・生物・地学の4分野から幅広く出題されており、各分野が占める割合も大きな差が見られない。結局は3年間の内容をまんべんなく学習し、あらゆる単元の問題に対応できるようにしておくことが重要である。
2024年度 都立高校入試問題分析【英語】
大問数 4問
試験時間 50分
担当 桜井和弘
入試問題分析と講評
問題形式については変化なく【大問1:リスニング】【大問2:短い対話文(図表)・Eメール・英作文】【大問3:長文読解(対話文)】【大問4:長文読解(物語文)】が出題された。最近では英語でのスピーチや国際交流、日本文化について述べる題材の問題が出題される傾向にある。また、学習指導要領改訂後に中学校での学習に追加された文法・構文などが各所に見られ、表現・語彙も難しくなってきている。
大問別分析
【大問1:リスニング】
例年通り問題Aと問題Bに分かれ、問題Aは対話文とその内容に関する質問に、答えを選択する形式で3題出題された。問題Bは、動物園の来訪者に向けた説明に対しての質問が2つ(1つは答えを選択、1つは英答)出題された。
【大問2:短い対話文・Eメール・英作文】
1と2は、与えられた図・表をもとに、1は日本人の高校生とオーストラリアからの留学生、2はその両親を加えた4人の対話文を読んで、文章中の空所に適切な語句を選ぶ問題で、根拠になりそうな情報から正しいものを選ぶ必要がある。3は帰国した留学生とのEメールのやりとりで、(1)はEメールの内容に合っているものを選ぶ問題で、場所・時系列等に注意する必要がある。(2)は最近感動したことを3文で述べる問題であった。
【大問3:長文読解(対話文)】
中学生3人と留学生との対話文で、図書委員会の活動を通して学んだことについての内容である。下線部が示す内容やそのように答えた理由を回答する問題が多く、前後で話されている内容を理解して答える必要がある。また、本文中に broadcasting, solve, presentation, focusなど中学生には難解な語が脚注なしで使われている。
【大問4:長文読解(物語文)】
日本の高校生がニュージーランドにホームステイに行って経験し学んできたことにより、決意を新たにする内容の文章であった。問いに関しては、本文の内容に関する問題と流れに沿って並び替える問題が出題された。文章全体から必要な箇所を読み取る必要があったため、登場人物ごとに整理する、また、段落ごとにどのような場面か把握するなどの必要があり解くのに時間がかかったと思われる。
新傾向や注意すべき問題
全体の傾向としては大きな変化はないが、読解するのに理解していなければならない文法・構文・語彙が増えている。また、問題の文章量が多く、大問2以降で長文を3題読まなくてはならないため、内容を把握し、必要な情報を素早く読み取らなくてはならない。
2025年度入試への対策
まずは土台として文法・構文・語彙を身に着けていく必要がある。また、日頃から身近なことを英語で表現するようにし、身近な場面に使う英語に注意していかなければならない。夏休みが終わるまでには総復習し、夏からは本格的に入試問題に取り組んで、数多くの文章を読み、日常の簡単なことから英作文を行っていくことにより、都立高校入試の形式に慣れ、読解できるようにしていくようにしたい。
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